『寄り道しないで帰ろうよ。』 205号室-22


 もうすっかり暗くなった道を吉田くんと並んで歩く。

 最初の印象とは違って、屈託なく話す性格なんだと分かった。あの村上くんと仲良く出来るのが不思議だが、俺は彼の事を良くは知らない。きっと吉田くんとは通じる部分があるんだろうと思う。
「山城さんは、もう一人の人とはいつからの知り合いですか?」
「アツシ?!.......中学から、だけど。」
 吉田くんに聞かれて答えたが、そう言えばまだ吉田くんはアツシと出会っていなかった。一応俺とアツシが二人で管理人をすることは伝えたと思うが......。

「ルームシェアって難しいですよね。干渉し過ぎてもダメだし、無関心にはなれないし.............。でも、つい気になっちゃう。」
 コンビニの袋をひょいと肩に担ぐと、彼は頭を掻きながら言ったが、俺も確かにその通りだと思う。
 俺とアツシの場合は特に。ルームシェアには違いないが、どちらかと言えば’同棲’という方がしっくりくる。恋人同士の場合は、干渉して当たり前なところがあるし、無関心になんてなれないんだから。

「あ、...............」
 吉田くんが、マンションの前まで来ると声を出したので、俺は吉田くんの方を向くが、彼が視線を送っている先に村上くんの姿を発見すると、あちらも俺たちに目を向けた。

「シオン、いないんだけど.........、吉田一緒じゃないんだ?!」
 村上くんがこちらに近寄ると言った。
「オレ、今帰りだもん。シオンは早く帰って来る筈じゃないのか?今朝そう言ってただろ。」
「ああ、俺が帰って来たときはキッチンに居たさ。でも、彼女と部屋に居て気づいたら姿が消えてた。」
「何か買い忘れでもあったんじゃない?その内帰って来るさ。飯は?」
「...........途中っぽい。」

 俺は、彼らの会話に口を挟む事も出来ずにいた。田嶋くんは俺のマンションにいるんだが............。

「じゃあ、俺はこれで。おやすみなさい。」 
 そう言うと足早に上へあがろうとする。

「あ、おやすみなさい。」
 吉田くんも俺にそう言うと、村上くんと二人で階段で上がって行く。彼らの足音を聞きながら、俺はエレベーターを待った。
 どうして田嶋くんがうちに居るって言わなかったんだろう...............。別に隠す事じゃないのに。
 それでも、目を赤くした田嶋くんの顔を見たら、流石の俺でも何か嫌な事があったんだと分かるから、それが分かるまでは黙っておこうと思った。



「ただいま---」
 ドアを開けると、玄関からリビングに聞こえる様に声を掛けた。玄関に田嶋くんの靴がある事を確認すると、俺はリビングへと行った。

「下で村上くんと吉田くんに会ったけど、田嶋くんを探していたみたいだよ。」
 俺はポケットに手をやると、壁に背中を預けて言った。
 ソファーに座る田嶋くんの膝に、アツシが手を置いていて、俺としてはそっちが気になった。

- なに触ってんだ-----?!

 と、アツシを睨みつけるが、目が合っても全く顔色を変える事は無くて。むしろ、俺が睨むことが間違っているとでも言いたげに、涼やかな顔で俺を見返した。



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