境界線の果てには。(041)

昨日、真咲が作った肉無しの肉じゃがを平らげた後、夜迄抱き合った俺たち。

喧嘩みたいになって気分が落ちたけど、真咲が料理作ってくれて、身体の心配してくれて、俺に優しくしてくれると、すぐに舞い上がる。

単純なんだ、俺。



*
*

心地いいジャズの響きが耳から伝わり、落ち着いて本を読んでいると
「青木さん。」
少しハスキーな男性の声で名前を呼ばれた。

「はい」
本をカバンにしまい声の方へ歩いて行く。

今日は、末永クリニックでの受診日。

「こんにちは。」
挨拶をして中に入ると、末永先生のやさしい顔に癒やされる。

「どうだった?あれから倒れたりした?」
じっと目を見つめられ、焦る。
深酒して、違う意味で倒れたから。

「……いえ、大丈夫です。」
間が空いたので、クスッと笑って
「酔っぱらうのは別にいいよ。あれはパニックじゃないし。」

「…ア、そう?」
つい安堵してタメ口になり、口を押さえた。

「ちょっと、胸見せてくれる?心音聞きたいから。」
「はい」

シャツを捲し上げ、首を少し上げた。
意味はないけど、なんか聴診器を当てられると自然に上を向いてしまうんだ。
呼吸を整えようとするからかな?

「はい、後ろも」
言われて、くるりと向きを変える。
と、ハスキーボイスのカレが自分の後ろにいた事に気づく。

一瞬目が合うと、カレの口元はキュッと締まったが、すぐに末永先生の方へ目がいった。

-この人………

頭に浮かんだ言葉を繋げる前に、
「はい、いいよ。心音は元気そうだ。泥酔しない程度に飲んでね。」
そう言われて顔が火照る。

「それから、…なかなか独占欲の強い恋人がいて、ちょっと心配、かな?」
下を向きシャツを直していると、末永先生に言われて、顔を上げた。

キョトンとしていると、
「見えない場所に痕を残すなんて、ねぇ⁉」

-え

頭の中に昨日の記憶が甦り、自分でも顔が真っ赤になっているのが分かった。


-真咲のやろう………コロス‼









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