【妄想男子と恋のゆくえ。】24


 ----どうして合コンなんかに来ちゃったんだろう----

向かいの席に座った森の両隣りには、立花で一番カワイイと評判の女子、白石美南ちゃんと、中山カンナちゃんとが陣取っている。
俺と横山の間に座ったのは菅野なつみちゃん。そして鳥居の横にはヒカルちゃん。一応は男女交互に並んだ訳で、軽く自己紹介をした後横山が景気づけに一曲目を唄った。

俺たちはもう何回も聞いている曲で、正直アイドルグループの歌とか興味はなかったが、まあ、盛り上がるから良しとする。
その間にも、二人の女子から質問攻めにされた森の様子を伺うが、面白い程の無表情で、やっぱりか・・・・と思った。

俺も誘った以上は盛り上げてやらなければと、隣のカンナちゃんに森がドイツからの帰国子女だという事を教えてあげる。その途端、美南ちゃんが「ええ~っ、ステキー!!」と甘い声で叫んだ。

「・・・・・・・・」
森は俺の方を向くと、ちょっと眉を寄せて不機嫌な顔をした。言ってほしくなかったんだろうか・・・?

横山の歌が終わると、待ってましたとばかりに鳥居がマイクを持つ。鳥居はアニメのテーマソングを入れると、女の子を意識しながら歌った。男だけで来るカラオケの時は、バカ騒ぎしたくてやたらテンションの高い曲を歌っているが、今日は色々思惑もあるし、ここで全力投球するわけにもいかない。

「次、ヒカルちゃん唄いなよ!」
横山は歌の選曲をすると、マイクを彼女に渡している。「ありがと。」という彼女の声も可愛くて、つい俺の妹と比べてはため息をついた。

「森くんって、ちょっと外国のDNA入ってそう。瞳の色が真黒じゃないよね?!」
「・・・・・・・・・」
美南ちゃんが森の顔を覗き込んで見るが、森はチラッと目をやっただけで、そうだとも違うとも答えずに黙っていた。

「あ、俺もそう思った!ちょっと茶色とグリーンが混ざったみたいな色してるもんな?!」
俺はすかさず美南ちゃんに声を掛ける。
「だよね~、綺麗な色してるぅ~。」と美南ちゃんもカンナちゃんも、森の顔に近付いてはじっくり見ているが、当の森は視線を自分の膝に落として興味なさそうにしていた。

「あ、次、美南ちゃん唄う?曲名教えて。」
俺は、森の分まで彼女たちに気を遣うと、甲斐甲斐しく曲を入力してあげた。
森が、女の子の前でどんな態度をとるのかと、興味本位で誘ってみたけど、相変わらずの無表情はそのままで、言葉を発したのかも定かでない。なんか、森がしゃべる代わりに俺が答えている気がする。

「あの、岡嶋君は妹さんいますよね?!」
「え?・・・・・いる、けど。」

「ああ、やっぱり。分かりませんか?私、同じ中学だったんですけど。」
「え?」

隣にいたなつみちゃんという子が、俺の顔を見て言うが、残念ながら一つ下の学年に知り合いは無くて、分からなかった。
「晴香さんのお兄さんなんですよね?!」と確認されて、「・・・・・うん。」というしかない。
あまり妹の話をしたくない俺は、「じゃあ、次俺が唄う~!」と言ってその場の会話を切ると、得意のバラードを入力する。
とはいっても、みんなはこの時点でほとんど曲には耳を傾けていなくて、それぞれに好きな事を話しつつ、互いのいい処をチェックしていた。

「岡嶋くん上手いな~。」
ただ一人、なつみちゃんが俺の歌声を聞いて微笑んでくれている。
ちょっとだけ気分が良くなった俺は、悦に入るとサビの部分をなつみちゃんに向けて視線を送りながら唄う。なんだかいい雰囲気じゃないか~?!

自分でも分かるほど顔がニヤケてきて、何気なく森の方に視線が行と、俺のマヌケ面をじっと見つめていた事に気付いて恥ずかしくなった。

---そんなにガン見するなよな~

森は隣の美南ちゃんの話を聞いているのか、時折頷いてはいるが、やっぱり会話は弾まない様で。
カンナちゃんに至っては、すでに退屈になったのかジュースをすすっていて、画面をタッチペンで叩いては曲を探しているようだった。

鳥居と横山が、ヒカルちゃんと仲良く話している。三人はゲームの話をしているようで、スマフォを取り出すと画面に向かって何やらタッチしては笑っている。
俺はカンナちゃんも気になりつつ、でも、なつみちゃんが話しかけてくれるからそっちとばかり喋っていた。
その内カンナちゃんが自分で選曲した歌を唄い出すと、美南ちゃんは森の肩に寄り添うようにくっついた。俺は、それを横目で見ながらなつみちゃんと話すが、積極的な美南ちゃんに内心ドキドキしていた。

顔はこの中でも一番カワイイし、声や話し方も女の子らしくて俺の理想だな・・・・なんて思う。
森だって、こういう娘の方がいいに決まっているんだ。
悔しいけれど、今日は森に負けてやってもいいかと思って、俺がなつみちゃんに「カラオケの後、何処かいかない?」と聞くと、顔を綻ばせながら「行く!カフェに行こうよ。」と言われた。

「いいね、時間はあるし・・・。二人だけで行く?」と聞く。
「うん、いいけど・・・。」
なつみちゃんは、少しだけ恥ずかしそうに顔を赤らめると言った。

- よし、これでこそ合コン。たまには女の子とも遊ばなくっちゃ・・・。

俺はニヤけた顔のまま、さりげなく横山の足を蹴ると終わりの合図を送った。




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