【妄想男子と恋のゆくえ。】25


 テーブルの下で、横山の足を蹴りながら合図を送るのに、横山はヒカルちゃんとゲームに夢中になっていて俺を無視した。仕方なく、ひとつ飛び越えた鳥居に分かるように目配せをすると、ようやく気付いてもらえる。

「あ、えっと・・・そろそろ、出ようか?!この後どうするかは各自で決めてねー!」
軽い調子で鳥居が言うと、女の子たちは顔を見合わせてどうするか迷っているようだ。

「オレは鳥居とヒカルちゃんとでゲーセンに行くんだけど、他に行きたい人いる?」
横山がウォレットからお金を出すと聞いている。俺はなつみちゃんとカフェに行く予定だけど、他の娘たちには声を掛けなかった。
久々の女子とのツーショットに心躍らせて、まあ、同中という事もあるし変な事は出来ないけど、友達にはなれそうだと思う。

「あたし帰るー。」と言ったのはカンナちゃんで.....。
美南ちゃんにおされて森との会話も弾まないし、ちょっとつまらなさそうだったから仕方がない。俺も、気にはなりつつもなつみちゃんの手前誘う訳にもいかなかった。

美南ちゃんは、森の事が気に入っているらしくて、あまり言葉は絡んでいなかったが二人で並んでいた。

「森は美南ちゃんと何処かいく?それとも帰る?」
俺は何気なく森に尋ねる。
「・・・・・・・・・」
隣の美南ちゃんはちょっと顔を綻ばせていたが、当の森は眉間にシワを寄せて俺を見た。

- え?
何かマズイ事言った?- 

「私、お茶したいな~、森くん時間あったら一緒に...」
「オレはケンちゃんと帰るし!」

「え?......」
「約束したろ?!カラオケ終わったら一緒に帰るって!」
「..........は?」

美南ちゃんの誘いを遮って、森は俺に向かってそう言った。もちろん俺は呆気にとられてポカンと口を開けたまま。

「いや、せっかく誘われてんのに.........、行って来いよ。」
森の目を見ると、俺は諭すように言った。美南ちゃんみたいな可愛い娘に誘われてんのに、何を言っているんだ......。

「あのさ、そっちのグループで行けば?」
横山が、俺たちの会話を聞くとこちらを見て言ったが、森は返事もしないで俺を睨んだまま。

「オレはケンちゃんに誘われたから来たんだ。帰りは一緒に帰るって言った!」
「...........あ、..........まあ、そんな事を言ったかも、だけど.....、いいじゃん美南ちゃんとお茶しに行けって!!」

- どうしてこんなところで駄々っ子のようになるんだよ!! -
 
俺が眉を寄せて森に言うと、横山と鳥居が「まあ、今日は帰れば?研は森の保護者だから連れて帰ってやれよ!」と言い出した。

「は?!なんで俺が?!..........ったく!!」
俺はキレそうになって、森を睨む。わがままにも程があるって.....。森の事を思って女子と仲良くさせてやろうとしているのに。

「森は慣れてないんだ。また今度誘うから、そん時は一緒にお茶しに行けばいいじゃん?!ね?美南ちゃんもオレたちとゲーセン行く?」
鳥居は美南ちゃんを誘うが、俺と森が言い合いみたいになって気分を悪くしたんだ。「私も帰ります。」と言ってバッグを肩に掛けた。
「あ・・・・そう?」
仕方なく横山達がそう言うと、部屋を出ようとドアの所へ行った。

「......じゃ、、また今度。」
部屋を出る俺の後ろで、なつみちゃんが小さな声で囁いた。
「ん、ゴメンネ。アイツ、わがままだから.......。」と、俺もなつみちゃんに聞こえる様に言う。せっかくいい感じになれたのに..........。
森のせいで、俺の楽しいひと時はふっ飛んでしまった。あとでメアドを交換しようと思って、会計を済ませるとなつみちゃんを呼ぶ。

「メアド、交換.....」と言いかけた俺は、後ろから回された腕で首を絞められるように引き寄せられると、なつみちゃんから離された。

「ぁあ?!........ちょ、っとぉ~」
「帰るって言ったろ?!さっさと帰るんだ!」
そう言って、森は俺の首と服の裾を引っ張るとグイグイ引きずるように歩いて行く。

「研、森ぃ~、バイバイな~!気を付けて帰れ~ぇ。」
横山たちの一本調子で乾いたセリフは、俺の心に届かない。
- 誰か俺を助けろよっ!!! - 


- - - 
流石に人混みの中、森の腕を振りほどいた俺は、渋々森の言う通りバスに乗って近くのバス停で降りると、自宅までの道を歩いた。

確かに、昨日はコイツを誘うために一緒に帰ればいいし、なんて言ってしまったが........。
マジで女の子に興味が無いのか?なんなんだよッ!!

ちょっと荒れた俺は、森のマンションの前まで来ると言わなくていい事を言ってしまう。

「お前、ガチでホモ......?」

.............、言っちゃった.............。

言った後で、森の顔を見たらおもいっきり後悔した。眉間のシワは尚も深く刻まれて、ゆっくり瞼を閉じる。
俺を襲った時点で、絶対そうだとは思ったけれど、無かった事にしてスルーしておけば忘れるだろうと思っていたのに.....。

自分で蒸し返してしまった事に気付いた俺は焦る。




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