境界線の果てには。(002)

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あの事故から4年経つっていうのに、いまだに忘れられないのは、あの血だらけの顔。

運動場の隣の建設現場で、クレーン車が横倒しになって、俺たちのいた倉庫の屋根を直撃した。
おかげで、サボってあんなトコに居たのがバレるし、高3の女子は、入院で大学受験に失敗するしで、えらい目にあったよ。

.................極め付けが、俺。
あれ以来女の子と密室に居られない。息が苦しくなる。最悪、吐く。もっと最悪なのは、気を失う。だ。

小学校からそこそこ女子にはモテていた、青木広斗サマが・・・・・・。
こういうの、親に言ってもわかってもらえないし、学校に行けば女が寄ってくる。





「なあ、最悪だろ?」
そう言って、隣でジュースを飲んでる真咲に同意を求めた。

「うん、そうだね。・・・・・まあ、オレには好都合ってトコだけど。」
聞いたのが間違いだった。
コイツ、中野 真咲(ナカノ マサキ)は、俺と同じ政治経済学部の3回生で、オレの護衛隊。
護衛隊っていっても、コイツひとりなんだけどな。

「広斗はさ、自分でモテるとか言っちゃうトコがすごいよね?」

「・・・はあ? だって、実際モテるし。」
胸を張って言えば、
「でも、二人きりになれないじゃん。告られてんの見た事ないもん、オレ」

ぐっ、、、確かに・・・・大学入ってからは、自分から女を避けていた。

何回かエレベーターに乗ってるとき女の子と二人きりになって、気を失ったからだ。

そして、何度目かに倒れたとき、俺を医務室へ運んだのがコイツ。

以来懐かれて、今では溜まった性欲の処理までしてくれる。・・・いや、されてんの俺なんだけどな。

「今日さあ、泊ってもいい?」
真咲が含みのある目をして聞いてくる。

「・・・・・なんで?」
わざと、じらしてやると、真咲の大きな手で、腰を掴まれた。
「お、....ちょ、っと....ヤメロ。ここガッコ、」

学食の脇にあるスタンド式のカフェで、男が二人でじゃれ合うとか、ナイ、ナイ、ナイ。

「ちぇっ、つまらん。」
真咲は仕方なく手を引っ込めると、コップの中のジュースを飲み干した。

アブナイ、アブナイ。

人前とか気にしない真咲のことを 広斗は今一つ理解出来ないでいた。

真咲は、身長も178cmと自分より高いし、顔だって俺の次くらいにはいい方だ。
女の子も寄ってくる。多分4~5人は食っちゃってるハズ。

なのに、こんな俺にくっついて、シモの世話までしてくれる。厳密に言えば、俺がしてやってるのか?どっちだ?
・・・・・まあ、どっちでもいいや。

とにかく真咲とはこうして1年半も続いているんだ。
そろそろ、終わりにしねえと、な。
広斗は、自分のコーヒーを勢いよく飲み干した。




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