境界線の果てには。(046)

  淡いチークで頬を染めた彼女の名は、間城 晴香(マシロ ハルカ)といった。
身長は広斗の肩ぐらいで、可愛い顔立ちの娘だ。

「男のひとり暮らしってどう?」
晴香が向かいの広斗に聞くと
「こいつは、なんも出来ないんだよ。自分の後始末さえ…。」と、真咲が答えるので
「うるせぇよ。できるって!」
広斗がテーブルの下で真咲のすねを蹴って言う。
「いっ、…痛ツ!」
真咲が声を上げて、足を擦りながら広斗を睨み付ける。

ふっ、ふふふ…
晴香は口元に手をやると、こらえきれずに笑い
「いつも二人でいるけど、ホント、仲がいいよね。…あ、三人か。」
と、高木を忘れそうになって、いい直した。

三人の間に緊張が走って
「まあ、三年目ともなると、なんか兄弟みたい、で、さ。」高木が、変なことを口ばしる。

愛想笑いをしつつその場は過ぎたが、次の土曜日がどうなるのか……
真咲の機嫌は、悪そうだ。






帰り道、バイトの無い日は大抵広斗のアパートに向かう二人。
真咲は、隣の広斗に顔を向けると、何か言いたげにじっと見つめる。


しばらくして
「…なんでオッケーしたの、女の子苦手だろ?。自爆しても知らねえぞ。」
と、真咲が言う。


「自爆なんかしないし。…俺さ、この間は倒れたけど、女の子といた訳じゃないだろ?だから、確かめてみないと。」

広斗の言葉に「何を?」と真咲。

「もしかしたら、直ってるかもしれないじゃん。女の子とは、いられるようになっているかも。」
ちょっと嬉しそうに広斗が言えば、
「だから?」

真咲の眉根に深いシワが現れた。

「直ってたらなんだよ。…あの娘と付き合いたいとか?」

「イや、そうじゃないけどさ…。なんだよ、怒らなくてもいいだろ。…例えば、の話だよ。」

「そういうの、あの娘が可哀想だろ!付き合う気がないなら、二人きりになるな。」

そこまで言われて、広斗も考える。

「じゃ、付き合いたいって言ったら……いい?」


真咲に問いかけたけど、いつまで経っても返事はかえって来なかった。






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