境界線の果てには。(048)

「ねぇ、何作ってくれんの?」
真咲の背中越しに手元を覗いて言えば、
「………」
まだ無言のまま。



「てめぇ、…いい加減しゃべったっていいだろ!」
広斗がついにキレた。というか、半べそかいて抗議する子供のように、真咲の尻を膝で蹴る。

ゆっくり振り向く真咲に、イライラしながら、それでも反撃されたらと思い腰を低くして身構えた。

「ガキ。」
一言だけ言えば、冷蔵庫からキャベツとニンジンを取り出す真咲。
「じゃがいも残ってるから、コンソメスープでポトフにする。ちゃんとニンジンも食えよ?!」
真顔で言われて、ウん。と返事をした。

-これじゃあ、マジで子供扱いだよ‼


野菜を刻んで鍋に入れるのを見ていたが
「さっき……言った事は、冗談。俺さ、真咲以外とは、こんな風に付き合えないよ。…だから、無視すんな。鼻水出る。」
後ろに引っ付くと、Tシャツの裾をつまみ、真咲の背中に額を付けて言った。

首だけひねって広斗を確認すると
「なんで鼻水? 涙、だろ?」と真咲。

「だって、涙こらえると鼻水出るじゃん。」

そう言う俺に、体を返して向き合うと
「背中に鼻水、付けんなよ?!」
甘い声でやさしく言った。


「…うん。」

オデコを付けられて、ちょっといい気分になったので、俺から真咲にキスをする。

一瞬目を見開くが、すぐに俺の腰に手を回すと、抱き締めてくれる。この、力加減が好きなんだ。強い様できつくはない。
俺より逞しい腕で包み込まれると、安心する。

「鍋、」
真咲が何度も俺の唇を食むので、鍋が吹き零れないかと心配で。

「大丈夫、すっげー弱火にしとくから。」
そう言うと、手を取ってベッドに誘われる。

横たわった俺を跨いで、Tシャツをたくしあげると首から抜き取った。そして自分も脱ぎ捨てると、俺の顔の横に手をつき、ゆっくり視線を下げる。

ン…

頬を掠めた真咲の唇が、俺の耳朶をくわえる。軽く歯をたてられると、ぞくぞくした。

「ま、咲……」
おもわず名前を呼んだのが真咲に火を着けたのか、舌先が入るとくちゅっ、と音をたてる。
耳から入る音に侵され、身体の芯が火照ると、息が上がって布越しにじわりと濡れる感触が。

「あ、....ヤバい......」
腕を伸ばして真咲の躰を押しやる。感じてる場合じゃない。

「スープ食べたい.......腹減ったんだ。」
そう言って起き上がるが、俺の首に手を回すと顔を傾け思い切り口を吸ってくる。
じゅっ、と音をたてるので、慌てて顔を引き剥した。

「やめ、・・・お前吸い過ぎ・・・痕つくから・・。」
この前の背中に懲りたので、絶対阻止する。口の周りが赤くなったら、笑い事じゃない。

不満そうな顔を見せるが、真咲も立ち上がるとTシャツを着た。






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