境界線の果てには。(061)


……ヤバイ…………
絶対怒るな、あいつ。

勝手に末永先生のとこ行っちゃって…。
おまけに予約までしちゃった。

ンーどうしよう……


真咲は今ごろ後悔するが、買い物も済ませたので帰るしかない。

カチャ…

静かにドアを開けると、中から広斗の声が。
「遅かったなぁ。………腹減った。なに買って来た?」

「…ラーメンと、餃子と、チャーハンの具材。」

「おっ、中華にする?どうせ晩御飯も食ってくんだろ?」
広斗が嬉しそうに聞くけど、オレはちょっとだけ後ろめたくて………。

「あのさ、…末永先生に、会っちゃった。ンで、明日の5時に来いってさ。」
何気なく言うが、広斗の顔が少し険しくなりだした。

「はぁ?……どういう事?なんで真咲が末永先生と?」
「…えーっと、たまたま病院の前を通りかかったら、居てさ…。なんか流れで、予約までしちゃった。」
てへッ! なんて、してみても広斗の顔色は変わらない。


- やッべ………
目が据わってる。


「たまたま?…わざわざ、の間違いだろ?ふつう行かない。…まさか俺の話をして、診てくれるように頼んだ?」

- その通り

「けど、広斗の事、先生は何も言ってなかったよ。知ってるって事も。」

「あったり前だ!見ず知らずの奴にいうわけ無い。………もう、ホントにバカ。」

想像した通りの言葉に、やっぱりな、と思ったが、バカと言われてムカついた真咲。
「おまえ、あそこ行った事何にも話してくれないじゃん!…診察って、何されてンの?」

「………くだらねぇ。…そんなの気にしてどうすんだよ。俺の身体をどうにかされてると思ってんの?…ホント、くだらねえ。」

真咲が末永先生に対して、善からぬ想像をしていることは分かるが、広斗には嬉しくない。就職活動の為もあって、この症状をなんとかしたくて行ったのに…。

「…もういいから、俺の身体の心配は、自分でするし。末永先生は俺のなんでもないよ。ただの医者だから、真咲が勘ぐるのも無理無いけど、俺の相手はお前だけ。」
広斗は、真咲を安心させようと言った。


「…ま、た…相手はって………、オレはお前のセフレ? 相手、相手って………、オレはお前にとってなんなの?ただのヤリ友なら心配すんなって事か?」
「… 」

- 心が折れるってこういう事か………。
真咲が大事に守って来たはずのものが、たったの一言を発しただけで崩れた。


口から出さなければ、ただの疑問。

…けど、口から出したら、黒い感情をぶつける事になる。







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