境界線の果てには。(062)


 微動だにしない二人の周りには、重い空気が立ち込めて淀んでいた。
黒い感情をぶつけた真咲に、返す言葉もない広斗は、ただ立ち尽くすしかなくて......。
そのうち真咲が自分の荷物を持ち上げると、黙ったまま部屋を出ようと玄関へ行く。

「ま....」

言葉をかけたが、バタン というドアの閉まる音にかき消されてしまった。

- 真咲.........

テーブルに並んだ食材を手にして、呟く広斗。

- また、なんか忘れ物でも買いに行ったのかな?..... きっと帰ってくるよな?.......この前みたいに、さ。







時計の針は、もう夕方の5時を示していた。

俺、腹減ってたのに............。

足音が聞こえるたびに、玄関のドアを見るんだけど、やっぱりどこか別の部屋の人で.....。

グウ~ツ
こんな時でも腹の虫は鳴るんだ。心が寒いってのに......。




なんだか今日は涙も出ない。
この間訳わかんなくなるくらい泣いた気がするんだけど、今日は疲れ切ってしまった。

昨夜の激しいセックスも、結局は俺の言葉を違うように受け取ってたからなのか?

そんな事も気づかないで、俺はただ気持ち良くなってた。
真咲の愛情を受け止めていたのに.........。

真咲しかいないって事が分かってはもらえないのか?
なんて言ったら良かった?俺のオトコ、とか?コイビト、とか?..................

.............マイッタ。
そういうの、今まで言った事なかったかも..........。
アイツが俺を甘やかすから、ただ甘えてればいいって思ってたんだよ。.......セフレなんて、思うわけないのに...........。










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