境界線の果てには。(065)

 誰もいなくなった待合室で会計を済ませると、貴哉が入口まで見送ってくれる。
「いい?ちゃんと、栄養考えて食べるのよ?!倒れるのは心因的な理由ばかりじゃないんだから。」

「.....はーい、分かりました。」
まるでお母さんと子供の会話みたいだが、貴哉の言葉を素直に聞く広斗。
片手を上げるとアパートの方へと帰って行く。
その後ろ姿を見ながら、貴哉が少し心配そうな顔。

「貴哉・・・昔の事思い出した?」

末永が、ドアを開けて出てくると、貴哉の肩に手を置きながら言った。

「.....正直、あの子がこっち側に来るとは思わなかった。」
「そう?もともとノンケの子が、にゃんこになるってのは良く有る話だよ?・・・それにあのカレだったら尚更。あれは、かなりの執着があるねぇ。初めて会うボクに対しても、敵対心アリアリだったもんな。」
末永が真咲の事を言うと、貴哉がクスツ、と笑った。

「先生に対してそうなんだったら、ボクなんかもっとだね?・・・あ~それでかな.....ヤキモチ焼かれて喧嘩になったんじゃない?そんな顔だったでしょ?!」
病院にやって来た広斗の顔が冴えなかったので、気になっていた貴哉だった。

「あの子たち、長く続くとイイね?・・・ボクたちみたいに。」
「だね。」
そういうと、貴哉が末永の腰に手を回し、その手を掴むと、もう片方の手で末永が貴哉の頭を引き寄せる。
それから、二人仲良く並んで病院へと戻って行った。




* *

部屋に戻った広斗は、食材を棚にしまうと、ふぅっとため息をひとつ。
昼間の光景が脳裏に浮かんで心がイタイ。自分とこうなる前に、真希やほかの娘とも付き合っていた真咲。

俺だって男と遊んでた。だから昔の事は関係ないと思ってたのに・・・・。
真咲が、貴哉さんや末永先生の事を面白くないと思うの当然だな。
俺だって、こうやってへこんでる。

もし、本当に俺を見限ってしまったなら、俺はちゃんと前に進めるかな?あいつの事応援してやれるかな...........?

自信ない・・・。高木が言うように、ただの痴話喧嘩なら良かったけど、モトサヤであいつらが付き合うってなったら、俺はもう真咲の顔は見たくないよ。..........一生見たくない。きっと死ぬまで見ない。







広斗 blog寂しい
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント