境界線の果てには。(066)


 翌朝、ゆっくり起きた広斗は重い頭を抱えていた。

テーブルの上のカフェオレは、すっかり冷えてしまい、目を閉じて自分の思考をクリアにしようと思うのに、全くやる気が出ない。
ちゃんと食事をしなさいと言われたのに、結局何も口にせず寝てしまった。

-夢の中で、真咲と真希ちゃんが並んで歩く姿を追っていた俺。

嫌になる。こんな夢見たの初めてで......。
気持ち悪いぐらい女々しい俺に、真咲が冷ややかな目を向けていた。

あんな目は今までされた事無いのに、どうして夢に出てくるんだろう.......。
きっと昨夜のネガティブな気持ちが表れたんだ。真咲が俺に向けてあんな目をする訳ないもんな。

自分に言い聞かせるように、広斗は目を開けると立ち上がって洗面所へと行く。
冷たい水で顔を洗えば、少しだけ気持ちもスッキリした。

本当は、今日の授業は出なくても良かった。それでも、真咲の事が気になって、どうしても顔を見たいと思ってしまった。

自分は真咲に捨てられたんだろうか............。
それとも、見間違いだったかも.........。

いろんな想像が、重い頭の中を巡っている。



 気分が落ち込んだまま、大学の門をくぐると、10m程先に真咲の姿が目に入って、少しだけ速足で歩く。

背中から声をかけようか........
まだ怒ってるのかな.........

今日の俺は意気地なしだ。いつもなら知らん顔で真咲の横を通り過ぎ、アイツが声をかけてくるのを待っているのに。
もう、自分でも分からないけど、テンパってる。

後ろから、真咲のバッグを掴むと、思い切り引っ張った。

「・・ぅわっっ・・!!」

いきなり後ろに引っ張られて、重心が取れずにこけそうになった真咲に、
「おい、なんで昨日休むんだよ!・・オマエ単位落としたらどうすんだ?」

・・・なんて、余計な事が口から出た。
心に思っていた言葉じゃないのに............。

「は?・・・なんだよいきなり。」
もちろん真咲はいい顔しないで、俺の方に向きやると眉を寄せていた。







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