幼なじみで先輩で・・・ 46
吹き荒ぶ木枯らしの中、ぐるぐる巻きにしたマフラーの端を風で流されない様に掴んで歩く司。
通行量の多い通りでは対抗者にぶつからない様注意するが、師走で人も忙しそうで、司の肩にドスンと当たってはジッと睨まれて下を向いた。
この日は、バイト先の中村の頼みで大晦日に御馳走してくれるという蕎麦を受け取りに来た。
中村が注文したというか、実際は小野寺が手配してくれたらしい。でも、お金を払うのは中村で、作るのは小野寺。
司は、取り敢えず二人に「行ってきます」と告げて店を出てきた。
受け取りに行くのはカフェから歩いて7~8分のところ。
こじんまりとした店先の脇に、焼杉の看板に書かれた’卜庵’という文字。漢字で書かれていると読み方が解らず「 とあん? 」と訊いてしまい小野寺に笑われてしまったが、それは 「ぼくあん 」というらしかった。
「こんにちはー」
格子戸づくりの扉をからからと引き、殺風景な店内を見廻すが誰ひとり姿がみえない。
確か電話で来る事は伝えてもらった。すぐに蕎麦を持ち帰れるものと思っていた司は、どうしようかと思案をする。
と、奥の方からゴソゴソと紙の擦れる様な音がして、そちらに目をやるとそこに居たのは短髪の中年男性。
「あのぅ、中村さんと小野寺さんから頼まれて・・・・・」
「あ、はいはい。ちょっと待ってて、今包んでるから。」
そう云ったきり、その男は下を向いて何やら紙に包んでいる。
「はい、コレ、蕎麦を六人前。」
やっと奥から出てくると、綺麗な和紙に包まれたものを司に寄越した。
「あ、有難うございます。こんな綺麗な包み紙、もったい無いのに......」
そう云って受け取ると、預かって来た封筒を手渡す。
「........ねぇ、気を悪くしないで。きみ、何か深い悩みがありそう。........違う? 」
「え?!」
封筒を受け取り中身の金額を確認しながらも、司の顔をチラリと見てはそういう男に、目を見開いたまま動きが止まると立ち尽くしてしまった。
「.....あ、あの、なんでそんな事?」
訝し気な眼差しを向ける司。突然、初めて顔を合わせた人にそんな事を云われたらビックリする。というより気味が悪くもあった。
「ああ、ごめんね、急に......。なんだかそんな気がしただけ。ここ、占いもするんだよね。だから’卜庵’。卜っていうのは’うらない’ともいう意味もあるんだよ。」
「.............. 」
云われている意味がよく分からないが、それでもなんとなく雰囲気のあるその男性には占い師の素質があるのか、少しだけ興味を持った。
「高校生だよね、いいなぁ~若いって。.......まあ、僕の彼氏も高校生なんだけどさ。」
「?..............?? 」
男の云う 「カレシ」 ってのはいったい?
司の思考は暫し止まった。
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