『曇天の月』 010


 - あたまいたい - - - 

結局、昨夜は自宅に帰ってから飲み直してしまった俺。
全く酔えなくて、訳わかんないけど、朝起きたら隣に昨夜の金髪がいるんだけど・・・・・

タクシーに乗り込んで、家まで帰った時は一人だった。どこでこいつが出てきた?なんで此処にいるんだ?

- - - あたまいたい - - - 

「あ、おはよー・・・頭痛い・・・・」

「え、お前も? ・・・・どれだけ飲んだ?」

そう言って床に転がっているビールの空き缶を数えるが、二人で飲んだにしても多い量だった。

「ところで、なんで此処にいるんだっけ?・・・俺、何もしてないよな・・・?」
恐る恐る聞いてみた。
来ている服も昨日のままだったし、痕跡はない。

「うーん、残念ながら、何にもできなかったね!役立たず、だったし・・・」

そう言われるとなんだか悲しくなる。”役立たず”っていう言い方が・・・・・

「お前、いつ来た?何でここが分かった?俺が呼んだっけ?」
取り合えず記憶をさかのぼるが、全くもって思い出せない。

「やだなー。渡した名刺の携番に電話してきて、ビール、ケースで買って来いって言ったじゃん。タクシーの運転手に電話変わってここまで誘導してくれたでしょ?覚えてないんだ?」

「うん。全く・・・・・ゴメン。」
はぁぁぁ・・・・落ち込む。
自分のバカさ加減に落ち込んだ。何やってんだろう・・・・。

「まあ、なんか嫌な事でもあったんじゃない?せっかく機嫌よく帰って行ったのにねえ?フラレタ?」

俺の顔を覗きこむ様にして言われたから、グサリと何かが刺さったみたいに胸が痛んだ。

- - そうだ、昨夜司がどこかのリーマンと居たとこを見たから・・・・・

ふっ、ヤキモチか?・・・・・バカな・・・・・


「まあいいや、シャワー借りてもいい?ボク、仕事だからこのまま行くし!」

「ああ、いいよ。適当にバスタオルとかその辺の使え。」

「ありがと」

そういうと、俺の前で裸になって風呂場へ向かう。
俺は、一瞬たじろいだが、金髪のおーはらくんを目で追いながらも、取り合えず、この空き缶をなんとかしなくちゃ、と思って袋に入れていった。

チラット見えたおーはらくんの腰のあたりに、タトゥーがあったからつい目が行ってしまったが、今どきは別に珍しい事でもない。
夏場になると結構街中では見かけるが、自分の親しい人の中ではいなかった。

美容師とか、そういうファッションに興味のある人がするのかな、と思っていたが、俺がその辺をかたずけている間に、おーはらくんが風呂から出てきた。

「おい、お前・・・・・一応、前は隠そうぜ?!」
おーはらくんは、一糸まとわぬ姿で歩いてくるから、こっちがビビってしまう。今どきの若い奴は・・・・・・なんて、おじさんじゃないけど、言ってしまいそうだ。

それでも、俺の好みの身体を目の前にしたら、ちょっとだけ寝た子を起こされた気分になる。
手を伸ばしてベッドに引き込んでやろうか・・・・と、思ってみたけどやめた。

少なくとも、ヤキモチから来る腹いせみたいな気持ちで、浮気とかはしたくなかった。







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