境界線の果てには。(062)

 微動だにしない二人の周りには、重い空気が立ち込めて淀んでいた。黒い感情をぶつけた真咲に、返す言葉もない広斗は、ただ立ち尽くすしかなくて......。そのうち真咲が自分の荷物を持ち上げると、黙ったまま部屋を出ようと玄関へ行く。「ま....」言葉をかけたが、バタン というドアの閉まる音にかき消されてしまった。- 真咲.........テーブルに並んだ食材を手にして、呟く広斗。- また、なんか忘れ物でも買いに行ったのかな...

境界線の果てには。(061)

……ヤバイ…………絶対怒るな、あいつ。勝手に末永先生のとこ行っちゃって…。おまけに予約までしちゃった。ンーどうしよう……真咲は今ごろ後悔するが、買い物も済ませたので帰るしかない。カチャ…静かにドアを開けると、中から広斗の声が。「遅かったなぁ。………腹減った。なに買って来た?」「…ラーメンと、餃子と、チャーハンの具材。」「おっ、中華にする?どうせ晩御飯も食ってくんだろ?」広斗が嬉しそうに聞くけど、オレはちょっとだ...

境界線の果てには。(060)

起き抜けの太陽の光は眩しくて、時計を見れば昼の1時を過ぎていた。「お、・・・・やべぇ、腹減ったと思ったらもう昼過ぎじゃん。・・・起きろ、広斗!」「.........ん?.........」真咲があわててベッドから抜け出すと、まずはシャワーを浴びる。それから冷蔵庫を開けて何か食べられるものが無いか調べた。が、あまり目ぼしいものはなく、仕方がないので買いに出るか、と服を着た。「広斗、オレ何か食うもん買ってくるから。」「....

境界線の果てには。(059)

 枕もとの、スタンドの明かりに照らし出されたのは、呼吸をするたびに揺れる広斗のくせ毛。前髪が長いって言ってるのに、どういうわけだか切らないんだ。いつもオレが頬に落ちた髪を耳に掛けてやってる。....あの人は、そんな事したことないだろうな。一度だけ、広斗の為にからだを貸した。それだけの事だ...........。分かってはいる。........なのに、.............「ま、さき・・・・喉、痛い・・・・んっ、・・・こんっ」いが...

境界線の果てには。(058) R-18

 ...........も...........いい?......ネ.....俺の話をぼうっと聞いている真咲に、顔を向けてねだると、一瞬ハッとしたのか目を見開いた。「ねぇ......もういいだろ?!....貴哉さんとは、その時一回だけ。.......もちろん先生とは、何もないよ。」「.......ああ、......ゴメン。.........」そういうと、真咲が俺の背中に舌を這わして、肩甲骨のくぼみを吸う。くすぐったい様な気持ちいい様な感じで、ゾクゾクした俺は思い切りの...

境界線の果てには。(057) R-18

ン..................ンン............ぁあ、後孔に入った指がゆっくり蠢くのを感じると、広斗の口からは小さな喘ぎ声が漏れた。「........な、さっきの貴哉さんとは、何処で知り合ったんだ?」片手で広斗の臀部を押さえ乍ら、もう片方の指で中の肉壁を擦り、くるりとかき回すと真咲が聞いてくる。「な、.....んで...............そん、な...............」「だって、広斗の初めてのオトコなんて、...........気になる。」言いなが...

境界線の果てには。(056) R-18

 真っ暗な玄関先で聞こえるのは、唇に吸い付いては離れる音で。.......ム....チュツ.........チュツ........ンチュツ....時々舌が絡まると、その音はもっと淫猥な粘り気のある音へと変わり、それが余計に二人の興奮を高める事になる。............あ、....真咲の太ももを広斗の開いた足の間に滑りこませると、互いの敏感な部分が服の上から分かるほど張り詰めて密着する。は......ぁ........広斗の顎が少し上がり、鼻から熱い息が漏れ...

境界線の果てには。(055)

 土曜日の夜という事もあって、道路はとても混んでいたけど、俺と真咲はタクシーに乗り込むと、後部座席にドサッと座った。行き先を告げると、真咲が俺の手を取って、運転手に見られないように、自分の膝の上に乗せる。 わざとらしく、互いに反対の方向へ顔を向けるが、意識は手に集まり、膝に置いたまま指を絡めあった。暗い車内では見えない筈だし、まさか男同士で手を握り合うなんて、思いもしないだろう。 流れる景色を見て...

境界線の果てには。(054)

ソファーに横たわる広斗の髪の毛を そっと直してやる真咲の姿に、ピンときた貴哉。普通の友人なら、そこまではしない。愛おしむ様な指先に込められた熱。それが友情を超えた何かであるという事は、直ぐに分かった。「そういえば、お友達の名前聞いてないわね、どういう関係なの?」「…中野っていいます。大学の同期生。」当たり障りのない返事は、貴哉のイタズラ心を掻き立てる。「フウン…。なら、ボクたちの関係は気にならないよ...

境界線の果てには。(053)

 そういえば、さっき広斗に言ってた言葉が気になる。「初めてのオトコ。」とかナントカ。真咲を上から下まで舐めるように見ると、立ち上がって部屋から出る貴哉を今度は真咲が目で追う。-小柄だけど、結構鍛えた体してんな・・・看護師って、まさかアレではいけないよなぁ。患者が倒れるって・・・別の部屋に行ってしまったようで、真咲は広斗の方に近づくと、頬を撫でた。「広斗、大丈夫か?水とかもらう?」頬に手をあてたまま...