『曇天の月』 075

 次の日、せっかくの日曜日だと言うのに妹の映見が俺のアパートにやって来た。「意外ときれいにしててビックリだわ。おにぃも、やればできる子だったのね?!」冷蔵庫を勝手に開けて、中から缶ビールを一本取り出すと言った。「お前、昼間っから女の子がビールとか・・・・・・」俺は呆れる。家では生真面目な女が、外では昼間から酒を煽るなんて・・・・・「こんなの、お茶替わりでしょ。それに一本だけだし、ね。おにぃって案外...

『曇天の月』 074

 トゥルルル・・・・トゥルルル・・・・・耳元で煩く鳴り響く携帯のアラーム。目を擦りながら止めた後、ドッと枕に顔を埋めた。結局明け方になるまで頭の中がごちゃごちゃして眠れなかった。かといって昼まで寝られる訳もなく。9時にはアラームをセットしておいた。- 久しぶりに溜まった洗濯でもするか。起き上がると、枕カバーやシーツを剥して洗濯機に入れた。それからコーヒーをセットして朝食の準備をする。男のひとり暮ら...

『曇天の月』 073

 「リョウスケさん............。」ベッドの上で座り込む俺に、おーはらの優しい声。俺の背中をそっとさすると、後ろから包み込んでくれる。「.....おーはら。」顔だけ振り向いた俺は、頭をおーはらの肩につける。トクン、トクン、トクン、・・・互いの鼓動はゆっくり音を刻み現実へと誘う。「小金井さんと、・・・あれからどうなった?忙しくなって芝居どころじゃなくなったけど。きっと、あの人は気づいてただろう。」俺がおー...

『曇天の月』 072

 ぁ.......ん..........っ腰を掴んで目の前に引き寄せると、おーはらが変な声を出した。俺は気にせずベルトに手を掛け外していく。それからファスナーを降ろして緩んだズボンの隙間から手を入れる。小さく引き締まった腰は、触り心地もいい。おーはらの臀部を貪欲に撫でると、そのまま下着ごと引き下げた。俺が、おーはらの腰にキスをしようと近づいたその時、目に入ってきたのは赤い花のタトゥー。あ・・・・・・。思わず声が出...

『曇天の月』 071

R18有ります。年齢に達しない方はスルーしてください。 - どうしてこうなった・・・・?・・・・俺が悪いのかよ。・・・・そう、俺が悪いんだよ。..........なんか気持ちいい..........。「.......ぁふ..........っ。」思わず喉の奥から出た声に、自分でビクッとなった。そっと目を開けて、気持ちのいいその部分を見下ろす。「・・・・・・なに、してる・・・・・・?」俺の視界に広がる光景。おーはらが上目ずかいに俺を見上げ...

『曇天の月』 070

 「お疲れ様でした」そう言って事務所を後にした俺。目の端では司の姿を確認するが、特にかける言葉も見つからずそのまま駐車場へと向かった。「明日は土曜日ですけど、今夜は予定ないんですか?」車のドアを開けようとして、立花さんから声を掛けられる。- あれ?朝見た時と服装が変わってるな。そう思った俺は「この後デートですか?」月並みな質問をしてみた。「・・・まあ、デートと言われれば。でも、相手は矢野くんです。...

『曇天の月』 069

 ちょっとした探り合いの様な そんな空気が二人の間に流れる。「別に、吸っても吸わなくても、どちらでもいいですよ。好きになった人がタバコを好むなら・・・それを受け入れるだけです。」「ぁあ、・・・そうですか。」なんとも大人の対応。というか、そもそも俺自身、何を思ってそんな質問をしたのか。なんとなく、彼女が司と仲いいので気になったのかな・・・?「さっき、矢野くんと何かあったんですか?真柴さんと話した後、...

『曇天の月』 068

 「これ・・・・。」司の前に見積書を置くと、指をトン、と鳴らして言った。「・・・なんです?」静かに言うと、訝し気な目で俺を見る。「昨日、この見積もりもらって気が付きませんでした?ここの単価、自分が報告していたものと開きがあるでしょ?!」そう言うと、司の横に立って数字の所を指で示した。「・・・ぁ・・・・」「この原料は、真柴の時も使っていたんです。これは毎月必ず2トンは製造している。今の時期、原油も上...

『曇天の月』 067

 .........はぁ.........朝からため息をつきながら出勤するのは情けないけど、昨夜の事があるから気が重い。もちろん司に罪はなくて、完全に俺が悪いんだけど.....。会社の駐車場についても、すぐ事務所に行く気になれず、しばらく車内で時間をつぶしていた。・・コン、コンツ・・・助手席の窓に顔を近づけてノックするのは、事務の立花さん。- どうしようかな............一瞬戸惑ったが、窓を開けて「おはようございます」と挨...

『曇天の月』 066

 車を運転しながらも、時折口元に手をやれば、唇に血が乾いて付いたのか、ガサガサした感触が気持ち悪くて・・・。ポケットからハンカチを取り出して擦ってみるが、ズキッと痛んで、また腹が立つ。いや、悪いのは俺なんだけど...........。自分でも、どうしてあんな事をしたのか分からない。欲求不満だったのか.....それにしても、あそこまで避けなくたっていいじゃないか。司は、俺と離れてもいいと思ってるんだ。きっと、俺には...