『迷惑な落とし物。』16

 翌朝は、ここ何年かぶりの二日酔いに頭がガンガンと痛くて.....。寝るときは平気だったっていうのに。それに、目が覚めたら正臣がこっちを向いて寝ていて。思わず寝顔を間近で見てしまった。切れ長の眼は、閉じると睫毛の生え際にうっすらと線が入っていて、ここにアイラインを引いたら綺麗だろうな、と思った。頬の髭の剃り跡が、やけに疎らで脱毛でもしているのか、と思いつつじっと見てしまう。スッと通った鼻筋。そこに指を...

『迷惑な落とし物。』15

 「痛いッ!やめろって!」俺のパンチを受けて後ろを向く正臣。その隙に浴室へと入った俺は、中から内鍵をした。ここは中からカギが出来るんだ。「へっへっ、ざまあみろ。」全く何を考えてるんだか.........。ノンケの考える事は理解出来ねぇ。ゲイの俺と一緒に風呂へ入るとか。そんなの、ヤる目的の時しかしないっての!ゲイバーでナンパされてホテルに行ったのが一ヶ月くらい前。それから今まで、健全に生きてきたってのに........

『迷惑な落とし物。』14

 ----- ッドーン!!思い切り正臣の胸を掌で押しやると、ドアから一歩も入れない様にして後ろ手にドアを閉めた俺。「っ、てーなーッ!!何すんだよ!!」よろける足で踏みとどまれば、壁に背中をぶつけてしまい正臣が俺を睨む。「あっ、ごめんごめん。力が入り過ぎた...........、ホント、ごめん。」頭を下げながら、俺は正臣の腕を掴むと謝った。兎に角ここは穏便に......早くこの場を離れなくては!焦る俺に、正臣は背中を撫で...

『迷惑な落とし物。』13

 時折耳に入る声高の男の声が、俺の身体に向けられている事を知らず、ゆっくり瞼を開ければぼんやりと目前の景色を見る。- えっと.........、確か赤い扉のバーに来た筈。髭の優男、...............名前はなんだっけ...............段々視界が開けてくると、そのヒゲの優男が俺に気付いた。「あ、目、覚めた?」「............え?」冷たいカウンターに頬をくっつけていたのか、ゆっくりと頭を上げると触れていた部分だけがじんわ...