『迷惑な落とし物。』66

 _____声を聞かせろ、って?本気で云っているのか?!こんな男の喘ぎ声を本気で訊きたいだなんて..........「や、..........だ。」正臣と絡めた指を握り締めると俺は囁いた。息があがってしまうと、朦朧とした意識の中でもなんとか自制心を保とうとする。バーで知り合ったナンパ目的の男とは違う。快感を得るだけの相手じゃなくて、本気で恋した男に抱かれているんだ。女を知っている正臣には俺の喘ぎ声なんて耳障りに違いな...

『迷惑な落とし物。』65

 正臣の熱い舌が俺の咥内をまさぐる。何度も何度も舌を絡ませて上気する顔が恍惚の色を見せ始めると、互いの身体を貪るように求め合った。セミダブルのホテルのベッドは窮屈で、思う様に動く事は出来ないが、それでも一ミリの隙間も作りたくない程密着するとそれだけで興奮する。正臣の腿が俺の膝を割って入ると、じっと顔を見つめ合った。胸の中のモヤモヤは今ここで消えてしまったかの様に、俺は正臣に抱かれる事だけに喜びを感...

『迷惑な落とし物。』64

 「お前、靴なんか履いてくんなよ!まだ酔ってんのか?」そう云うと俺のジャケットに手を掛けて脱がせようとする。「だ、って...........、つい。お前こそ、どうしてシャワーの湯を掛けるんだよ!着替えなんかないんだぞ?!どうすんだ、これ。」自分で濡れた服を脱いでいくが、ユニットバスの狭い空間で二人、裸になる姿は滑稽だった。裸を見られて恥ずかしいとか、そういう事よりもこのびしょ濡れの衣服をどうしたらいいものか...

『迷惑な落とし物。』63

 バス停で顔を突き合わせていると、正臣の顔がだんだん不機嫌そうになってくる。口を少し尖らせて、時折左右に動かすと何か言いたげだった。「なに?!」先に尋ねると、グッとくちびるを噛みしめた正臣。眉根がピクリと歪む。「斎藤と二人で随分とご機嫌そうだな。顔、真っ赤だぞ。足元もふらついてるし.....。」「大きなお世話。誰かさんがわけの分かんない事云うから........、酒でも飲んで気を紛らわそうと思ったんだろ。お前...